クロス取引(つなぎ売り)とは?

クロス取引(つなぎ売り)の3つの手順

株主優待の権利が確定するなどして株価下落が予想されるとき、保有する銘柄と同じ銘柄を同じ株数だけ信用売り(空売り)することを「クロス取引(つなぎ売り)」といいます。現物買いと空売りで同じ株数を保有しているため、株価が上昇しても利益にならない代わりに、株価が下落しても損失とならないため、手数料などの諸費用を除いて損益をゼロで固定することができます。クロス取引では配当を得ることはできませんが、株主優待の権利は残ります。そのため、クロス取引はリスクを最小限に抑えて株主優待の権利だけ得る方法として知られています。

クロス取引(つなぎ売り)について細かいことを置いておくと、その手順はわずか3で示すことができます。

クロス取引(つなぎ売り)の3つの手順
クロス取引(つなぎ売り)の3つの手順
  1.   権利付最終日までに、株主優待銘柄を現物取引で買い発注して現物保有する
  2.   上記の現物取引と同時に、信用取引で売り発注して売建保有する
  3.   権利落ち日に、「現物取引の買い」と「信用取引の売建」を現渡決済する

これだけの手順で株主優待の権利を得る事ができます。次ページ以降で、この手順を少しずつ細かく見ていきます。

株主優待の権利と権利付最終日

株主名簿に記載されることで、株主優待や配当などの権利が確定される日のことを「権利確定日」といいます。まれに月の15日や20日であることがありますが、ほとんどの銘柄で月の末日が権利確定日となっています

証券会社を通じて株式の発注を行い、発注が通って取引が成立することを「約定」といいますが、約定しただけでは株式を保有したことにはなりません。2019年7月12日(金)までの取引については取引日をゼロとして3営業日目、2019年7月16日(火)以降の取引については2営業日目が「受渡日」となり、この日から取引した株式を保有、あるいは手放すことになります

権利確定日ではなく権利付最終日までに取引を行う
権利確定日ではなく権利付最終日までに取引を行う

権利確定日ではなく権利付最終日までに取引を行う以上のことから、権利確定日の取引で約定するのでは取引が遅いことになり、遅くても権利確定日が受渡日となるように取引する必要があるということができます。そのため、クロス取引(つなぎ売り)では、権利確定日ではなく権利付最終日までに取引を行うことになります。「権利付最終日」は株主が株主優待や配当金などを得ることができる最後の取引日のことで、受渡日を考慮して、権利確定日の3営業日前が権利付最終日(2019年7月16日(火)以降は2営業日前)となります。

株主優待と株価下落リスク

株主優待と配当金の合計が株価の下落を上回る必要がある
株主優待と配当金の合計が株価の下落を上回る必要がある

一般的には、株の「リスク」とは予測できない不確実性のことですが、ここではよりわかりやすくするために株価が下落することをリスクとします。権利付最終日を過ぎると別の銘柄で株主優待や配当金を得るために、保有していた株を売ろうとする人が出てきます。権利付最終日の翌営業日のことを「権利落ち日」といいますが、権利落ち日以降に現物保有している株を売却してしまっても、その月の株主優待や配当を得ることができます。権利落ち日に株を売る人が多いということは、権利落ち日には株価が下落するということになります。

権利付最終日に株を保有することで株主優待や配当金を得ることができますが、一方で権利落ち日には株価が下落してしまいます。例えば権利付最終日に現物買いした場合、株主優待と配当金の合計株価の下落を上回らないと、株主優待と配当金を得るメリットが無くなってしまうことになります。ここで、株価の下落の影響をなくす方法があれば、それは必ずメリットのある取引となります。

クロス取引(つなぎ売り)」は、配当金を諦める必要はありますが、株価の下落の影響をなくすことができる方法です。株主優待は残りますので、リスクを最小化して株主優待を得ることができる方法ということになります。

次のページから、さらに理解を深めるために、クロス取引(つなぎ売り)の仕組みを見ていきましょう。現物買いと信用売り、2つの取引を組み合わせるメリット、2つの取引の発注タイミングを確認していきます。

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Posted by ぱる