クロス取引(つなぎ売り)の仕組みを知ろう!

クロス取引(つなぎ売り)の仕組みを知ろう!

現物買いと信用売り

前ページ「株主優待の権利およびリスクとクロス取引(つなぎ売り)」では、株価下落が予想されるときに、現物買いで保有する銘柄と同じ銘柄を同じ株数だけ信用売り(空売り)することを「クロス取引(つなぎ売り)」と言うと紹介しました。

現物買い」とは、簡単に言うと株を普通に買って保有することです。証券会社に預けたお金で、証券会社を通じて株を買うことが現物買いです。売却しない限りはずっとその株を持ち続けることになります。株価が上昇した時に売れば利益となり、株価が下落した時に売れば損失となります。

証券会社に預けたお金で直接取り引きするのではなく、預けているお金や保有している株を保証金(担保)にして証券会社を通じて株の取引を行うことを「信用取引」といいます。信用取引で株を買うことを、現物買いと区別して「信用買い」といいます。

現物取引と信用取引
現物取引と信用取引

信用取引では株を買うだけではなく、持っていない株を売ることもできてしまいます。証券会社から株を借りて売却し、あとで株を市場から買い戻し、買い戻した株を証券会社に返済することになります。この取引は、信用取引ですが信用買いと区別して「信用売り」といい、一般的には「空売り(からうり)」と呼ばれることも多いです。信用売りでは株価が下がると、より安い株価で株を買い戻すことができるために利益となります。しかしながら、反対に株価が上昇すると、より高い株価で株を買い戻すことになってしまうために損失となってしまいます。

「現物買い」と「信用売り」を組み合わせるメリット

クロス取引(つなぎ売り)では、現物買いと信用売りを組み合わせることになります。現物買いと信用売りで同じ株数を保有しているとします。株価が上昇した場合、現物買いでは利益となりますが、信用売りでは同じ金額の損失が出るため相殺されます。反対に、株価が下落した場合、現物買いでは損失となりますが、信用売りでは同じ金額の利益が出るため相殺されます。このように、「現物買いと信用売りを組み合わせる」と、株価が上昇しても下落しても損失とならず、基本的に損益はプラスマイナスゼロとなります

クロス取引で利益と損失が相殺される
クロス取引で利益と損失が相殺される

株を保有することで得られる「配当金」はどうなるでしょうか。詳細は次ページで後述する「クロス取引のコスト」のところで示しますが、現物買いでは配当金を得ることができる一方で、信用売りでは配当金相当額を証券会社に支払う必要があります。得られる配当金と支払うべき配当金相当額は最終的には損益通算で相殺されるため、配当金についても基本的にプラスマイナスゼロとなります。

現物買いと信用売りを組み合わせることで、株価の変動や配当金について、手数料などの諸費用を除いて損益をゼロで固定することができます。しかしながら、株主優待の権利は残ります。現物買いと信用売りを組み合わせるメリットとは、株価下落によるリスクを最小限に抑えて株主優待の権利だけ得ることができることであると言えます。

現物買いと信用売りの発注タイミング

前ページで、株主優待に重要な日を説明しました。株主優待や配当などの権利が確定される日のことを「権利確定日」といい、ほとんどの銘柄で月の末日となっています。しかしながら、発注して約定した取引日」に株の所有権が変わるのではなく、「受渡日」に所有権が変わります。そこで受渡日を考慮した「権利付最終日」までに取引を完了させておく必要があります。権利確定日の3営業日前が権利付最終日(2019年7月16日(火)以降は2営業日前)となるということでした。

現物買いと信用売りの発注タイミング
現物買いと信用売りの発注タイミング

現物買いと信用売りの発注タイミングは、遅くても「権利付最終日」までということになります。とりあえずは権利確定日や受渡日より「権利付最終日」を気にするようにすればよいということになります(クロス取引のコストについて後述しますが、金利日数や制度信用取引で重要となる逆日歩日数を考えるには「受渡日」も重要となってきます)。

権利付最終日に取引を完了させるには、権利付最終日の取引が始まる前に発注しておくのが理想的です。現物買いと信用売りを組み合わせると、株価が上昇しても下落しても損失とならず、基本的にプラスマイナスゼロとなるという話でしたが、それは、現物買いと信用売りが約定した際の株価が同値であることが前提です。現物買いが約定したあとに信用売りを発注して約定させた場合、両者の取引の間に株価が変動してしまいます。このため、両者を同一の株価で約定させるには、市場が開く前に「成行」で発注し、寄付で同値約定させる必要があるということになります。

現物買いと信用売りの発注をまとめると、遅くても「権利付最終日」の前場が始まる前に、「現物買い」と「信用売り」で同数の「成行」発注を行うこと、ということとなります。

現物買いと信用売りを組み合わせることで株価下落のリスクを回避することができることがわかりました。しかしながら、クロス取引(つなぎ売り)のリスクはゼロにはなりません。次のページから、クロス取引(つなぎ売り)のリスクを見ていきましょう。

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Posted by ぱる